センパイナースとは|社会課題 ③

退院支援が進みにくい、4つの理由

制度は整ってきました。それでも現場で進みにくいのは、看護師一人ひとりの熱意の問題ではなく、知識と情報が個人に預けられたままになっているためです。

4つの理由を見る 退院支援AIとは

はじめにお伝えしたいこと

このページは、現場の看護師の判断を責めるために書いたものではありません。わたしたち自身が訪問看護の現場を運営し、同じ壁に当たってきました。一人の力量に頼らずに済む仕組みをつくるために、何が起きているかを正確に見たいという趣旨です。

理由① 制度や社会資源の知識が、学ぶ機会に恵まれていない

地域中核病院(130床)の看護職を対象にした調査では、退院支援に必要な制度の知識について、次の結果が出ています。

退院支援の実践項目のうち、実施割合が低かったもの(回答65人)
実践項目 実施していると答えた人 割合
在宅療養支援に使える診療報酬について、学習や情報収集をしている 21人 32.3%
外来看護師と病棟看護師の間で、在宅療養に関する情報を共有している 9人 13.8%
退院後の服薬管理について薬剤師と連携している 29人 44.6%
入院7日目の退院支援カンファレンスを開催している 29人 44.6%
在宅療養に向けてケアマネジャーと情報交換している 31人 47.7%
退院支援計画について患者さん・ご家族に説明している 32人 49.2%
患者さんが在宅療養に向けて自己決定できるように支援している 35人 53.8%

出典: 戸塚恵子・上谷いつ子「病院看護師の在宅療養に向けた退院支援の現状と課題」日本在宅ケア学会誌 24(1):65-73(2020年)。調査期間2015年3月25日〜4月6日、対象75人、回収65人(回収率86.7%)、有効回答65人。1施設の調査であり、全国の状況を示すものではありません。

同じ調査で、在宅看護の経験がない方が49人(75.4%)、介護支援専門員の資格を持つ方は3人(4.6%)でした。退院後の暮らしを思い描くための手がかりが、個人の経験の有無に大きく左右される状態です。

理由② 退院支援そのものに、難しさを感じている

同じ調査で、退院支援の実践について次の回答が得られています。

  • 約4割が難しさを感じている

    「いつも・たびたび感じる」が26人(43.3%)。「どちらともいえない」が30人(50.0%)、「ほとんど・まったく感じない」は4人(6.6%)でした。

  • 約半数が手ごたえを持てていない

    実践への満足について「あまり・まったく満足していない」が31人(51.7%)。「満足している」は29人(48.3%)でした。

出典: 同上(戸塚・上谷 2020)。

理由③ 「おひとり暮らし」が、行き先を決める条件になりやすい

急性期病院に入院したおひとり暮らしの認知症高齢者について、病棟看護師と退院調整看護師に聞き取りを行った研究があります。

この研究では、看護師が語った支援が【患者の意向に沿った支援】【自宅退院の実現に向けた支援】【退院後、安全に暮らすためのアセスメント】【自宅退院後、安全に暮らすための支援】【退院支援の改善に向けた活動】の5つに整理されました。結論として、ご本人の意向を引き出すこと、支える人を含めた支援を組むこと、退院後も支援が続くように関わることが重要だとされています。

出典: 八木範子・湯浅美千代・島田広美・杉山智子「急性期病院に入院した独居の認知症高齢者の意向を尊重した退院支援の検討 ─ 病棟看護師と退院調整看護師の語りから ─」医療看護研究 33:66-76(2024年)。病棟看護師4名・退院調整看護師3名への半構造化面接による質的研究です。人数の限られた質的研究であり、割合を示すものではありません。

おひとり暮らしであることは、支援を組み立てるうえで確かに大きな条件です。問題は、その条件を前にして、行き先の候補を十分に並べる時間と情報が足りないことにあります。候補が1つしか見えなければ、選択は始まりません。

理由④ 知識が、人についてしまう

地域にどんなサービスがあり、費用がいくらで、自己負担がどのくらいか。これらは地域ごとに異なり、変わり続けます。

  • 地域資源の情報

    受け入れ可能な施設、訪問診療、訪問看護。どこが今どのくらい空いているかは、ふだん関わっている人の頭の中にあります。

  • 費用と自己負担

    ご家族がいちばん知りたいのは金額です。制度が複雑で、その場で正確に答えられる人は限られます。

  • 引き継がれにくい

    くわしい人が異動や退職をすると、積み上がった知識は一緒に離れていきます。次の人はまた一から集め直します。

制度の面では、2016年度の診療報酬改定で入退院支援加算が整えられ、退院支援の担当者を置く病院が増えました。一方で、その担当者が持つ知識をどう残し、どう分け合うかという仕組みは、制度の外側に置かれたままです。

だから、AIが支える余地があります

4つの理由は、いずれも「人が足りない」「意欲が足りない」ではなく、情報が揃うまでに時間がかかるという形をしています。ここはAIが力を発揮できる部分です。

  • 早めに見通しを立てる

    医療情報と過去のデータから、退院可能日の見通しをAIが示します。早く分かるほど、選べる行き先は増えます。

  • 候補を並べる

    家族構成・住まい・地域の資源をもとに、療養プランの候補を複数提示します。選択肢が並んで初めて、ご本人が選べます。

  • 説明の材料を用意する

    ご家族への説明資料づくりを支えます。くわしい人がその場にいなくても、同じ水準の説明ができます。

  • 決めるのは人です

    AIが出すのは候補です。最終的な判断は、医療者と患者さん・ご家族が行います。

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  • 地域によって、選べるものが違う

    訪問看護は15年で約3倍に増えました。それでも、ご自宅で最期を迎える方の割合は同じようには伸びていません。

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  • 退院支援AI センパイナース

    退院可能日の予測と療養プランの候補提示で、ベッドコントロールと退院調整を支えます。

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