センパイナースとは|社会課題 ②
入院費の仕組みと、病院・自治体の現在地
入院が長くなるほど、1日あたりの収入は下がる仕組みです。そのうえで、2024年度は74.6%の病院が医業利益の赤字でした。いま何が起きているのかを、数字で確かめます。
入院費は、入院が長くなるほど1日あたりが下がります
多くの急性期病院が使っているDPC(診断群分類別包括評価)では、入院1日あたりの点数が入院期間に応じて3段階で下がっていきます。同じ病気でも、入院の後半ほど1日あたりの収入は小さくなります。
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入院期間I ── 点数がいちばん高い時期
検査や処置、手術などが集中する入院初期です。1日あたりの点数が最も高く設定されています。
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入院期間II ── 標準的な入院期間
全国の平均的な在院日数にあたる期間です。1日あたりの点数は期間Iより下がります。
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入院期間III ── さらに下がる時期
標準を超えた期間です。1日あたりの点数はさらに下がり、その後は出来高での算定に移ります。
仕組みの説明です。点数は診断群分類ごとに定められており、病院ごとの医療機関別係数によっても変わります。具体的な数値と試算の前提は在院日数と病床経営のデータにまとめています。
つまり、治療が一段落したあとに退院先が決まらず入院が続く時間は、病院にとって1日あたりの収入がいちばん小さい時間です。同時に、その病床は次の患者さんを受け入れられない時間でもあります。
いま、4分の3の病院が医業利益の赤字です
病院団体4団体が会員病院に行った、2025年の調査結果です。
| 区分 | 2023年度 | 2024年度 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 医業利益が赤字の病院 | 70.8% | 74.6% | +3.8ポイント |
| 経常利益が赤字の病院 | 52.1% | 65.0% | +12.9ポイント |
| 100床あたり医業利益 | −15,828万円 | −18,043万円 | 赤字が拡大 |
| 100床あたり経常利益 | −2,861万円 | −8,102万円 | 赤字が拡大 |
出典: 日本病院会・全日本病院協会・日本医療法人協会・日本精神科病院協会「2025年度 病院経営定期調査」概要版(2025年11月26日公表)。調査期間2025年7月10日〜9月19日、回答1,730病院(回答率33.6%)、有効回答1,629病院。
増収なのに、減益です
2024年度は医業収益が前年度比+2.8%と伸びました。それでも医業費用が+3.5%と上回り、2024年度の医業利益率は−7.5%、経常利益率は−3.3%でした。費用の伸びは給与費+3.2%、材料費+3.5%(うち診療材料費+5.4%)が中心で、この2つで費用増の72.5%を占めます。
同調査より。物価と人件費の上昇は、病院が自力で止められるものではありません。だからこそ、同じ病床でどれだけの方を受け入れられるかという、病院側で動かせる部分の重みが増しています。
自治体も、医療費を負担しています
医療費は保険料と患者負担だけでまかなわれているわけではありません。都道府県と市区町村が負担している分があります。
| 項目 | 金額 | 国民医療費に占める割合 |
|---|---|---|
| 公費・地方(都道府県・市区町村) | 6兆1,079億円 | 12.7% |
| 公費・国庫 | 11兆9,252億円 | 24.8% |
| 後期高齢者医療給付分 | 17兆2,072億円 | 35.8% |
出典: 厚生労働省「令和5(2023)年度 国民医療費」報道資料(2025年10月10日公表)。
入院が1日短くなることは、病院の収支だけの話ではありません。同じ公費のなかで、在宅や地域のケアに回せる余地が生まれるということでもあります。
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