1. 財務省が示したこと(2026年11月4日・財政制度分科会)
資料「社会保障」の「高齢者住まいに対するサービス提供に関連する論点⑤:訪問看護」(p.72)で、次の3点が示されました。
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営利法人の事業所と収支差率の増加
営利法人の訪問看護事業所は 2008年度の 1,211か所から 2025年度の 10,467か所へ(8.6倍)。全体に占める比率は 15.1% から 62% に。収支差率は令和4年度決算の 5.9% から令和6年度決算の 10.3% へ上がったとしています。
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同一法人内での利用の可能性
訪問看護が居宅介護支援の「特定事業所集中減算」の対象外であることと、営利法人の比率の増加を踏まえ、「同一法人内でのサービス利用が助長されている可能性がある」と指摘しています。
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理学療法士等による訪問看護
2024年度(令和6年度)改定で減算を導入するなど累次の見直しを行っても、全体の単位数は引き続き増加傾向。理学療法士等の職員割合が過半を占める事業所の収支差率は 14.1% と「依然として高い」とし、「提供実態を踏まえ、報酬の適正化を図るべき」としています。
同じ資料では、高齢者住まいに併設・隣接する事業所(集中提供型)について、居宅介護支援・訪問介護・通所介護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導にも同様の方向(論点①〜④)が示されています。精神科訪問看護についても、指示元の医療機関ごとに利用の集中率や訪問頻度を分析し、追加の対応を検討すべきとしています(p.60)。
2. これまでの経緯 — 理学療法士等の訪問は、2回続けて見直しの対象に
介護報酬では令和3年度・令和6年度と2回続けて、理学療法士等による訪問の評価が見直されました。医療保険(診療報酬)側でも、令和6年度と令和8年度に体制と訪問先に応じた細分化が進んでいます。
| 改定 | 保険 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 平成30年度(2018) | 介護 | 理学療法士等の訪問の基本単位を 302単位から 296単位へ。要支援者への60分訪問に減算 |
| 令和3年度(2021) | 介護 | 理学療法士等の訪問の基本単位を 297単位から 293単位へ。介護予防訪問看護で、利用が12か月を超えた場合の減算を導入 |
| 令和6年度(2024) | 介護 | 基本単位は 294単位(+1)。理学療法士等の訪問回数が看護職員の訪問回数を上回る場合、理学療法士等の訪問1回につき 8単位の減算を新設。介護予防訪問看護の12か月超の減算を 15単位に |
| 令和6年度(2024) | 医療 | 訪問看護管理療養費の月2日目以降を「1(3,000円)」と「2(2,500円)」に区分(体制に応じた評価) |
| 令和8年度(2026・6月1日施行) | 医療 | 同一建物居住者への訪問看護基本療養費(Ⅱ)を、同一日の人数(3〜9人/10〜19人/20〜49人/50人以上)と月の訪問日数で細分化(看護師等・理学療法士等とも、3〜9人 2,780円から 50人以上・月21日目以降 2,510円まで)。同一敷地内の建物も同一建物に。20分を下回る訪問は算定の対象外。1日あたり包括で評価する「包括型訪問看護療養費」を新設。管理療養費の1・2を統合し、訪問日数と単一建物の利用者数で細分化 |
単位数・金額は各年度の告示・厚生労働省の説明資料にもとづく要約です。令和元年10月には消費税率の引き上げにともなう改定(296単位→297単位)がありました。実際の請求にあたっては、告示の原文と疑義解釈をご確認ください。
3. 厚生労働省の分科会と国会での議論(10月〜11月)
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社会保障審議会 介護給付費分科会(10月19日)
厚生労働省は、理学療法士等による訪問について「サービス提供体制や実績に応じた評価の見直し」を検討課題として提示。資料では、理学療法士等による訪問の割合は、訪問看護で 53.2%、介護予防訪問看護で 63.2%(令和8年4月審査分)。算定回数は、平成30年度から令和6年度で約1.7倍。収支差率は、看護職員のみの事業所で 5.7%、理学療法士等も訪問する事業所で 11.1%、理学療法士等の割合が50%超の事業所で 14.1% でした。委員からは、減算の強化を求める意見と、訪問看護と訪問リハビリテーションの役割分担を明確にすべきという意見が出ています。
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参議院 厚生労働委員会(11月5日)
理学療法士である議員から、訪問看護ステーションからのリハビリ職の訪問に対する評価のあり方について質疑がありました。厚生労働大臣は「訪問リハビリは重要なサービス」とした上で、利用者のニーズを踏まえて令和9年度介護報酬改定に向けた検討を介護給付費分科会で進める、と答弁しています。
4. 今後の流れ(見込み)
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2026年11月下旬
財政制度等審議会が「建議」をまとめ、財務大臣へ提出(例年の流れ)。
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2026年12月
令和9年度予算編成。介護報酬の改定率は、年末の大臣折衝で決まる見込み。
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2027年1月ごろ
介護給付費分科会の審議報告・答申。理学療法士等の訪問、同一建物(施設・集合住宅)への訪問の評価がここで具体化。
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2027年4月
令和9年度介護報酬改定の施行(予定)。
財務省の提言は要望の段階で、減算の幅や要件は示されていません。最終的な内容は、中央社会保険医療協議会・介護給付費分科会の審議を経て決まります。
5. 医療機関・訪問看護ステーションが、今から確かめておきたいこと
どの方向に決まっても、自分たちの数字を先に把握しておくほど、落ち着いて備えられます。
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看護職員と理学療法士等の、訪問回数と職員割合
月ごとの訪問回数の比率(令和6年度の 8単位減算の基準)と、常勤換算の職員割合(財務省資料の「過半」の基準)を、事業所ごとに把握する。
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同一建物・同一敷地内の利用者数と、月の訪問日数
令和8年度改定の人数区分(3〜9人/10〜19人/20〜49人/50人以上)と訪問日数(月20日目まで・21日目以降)で、建物ごとに整理する。
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訪問の記録(開始・終了時刻)と、計画にもとづく訪問
令和8年度改定で、記録書等への訪問開始時刻・終了時刻の記載と、看護目標・訪問看護計画に沿った提供が明確化されました。20分を下回る訪問は算定の対象外です。
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緊急時対応・特別管理・ターミナルケアの体制
看護職員の割合が高い事業所ほど、緊急時訪問看護加算・特別管理加算・ターミナルケア加算の届出割合が高い傾向(厚生労働省資料)。「訪問看護に求められる機能」を体制で示せるようにしておく。
出典(一次資料)
| 資料 | 発行 | 時点 |
|---|---|---|
| 財政制度分科会(令和8年11月4日開催)資料「社会保障」(p.60、p.67〜72) | 財務省 | 2026年11月4日 |
| 第271回 社会保障審議会介護給付費分科会 資料3「訪問看護」 | 厚生労働省 | 2026年10月19日 |
| 令和8年度診療報酬改定の説明資料(訪問看護ステーション向け) | 厚生労働省 | 2026年3月 |
| 令和6年度 訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法 新旧対照表 | 厚生労働省 | 2024年3月 |
| 集合住宅への訪問介護・通所介護、報酬引き下げを 財務省が要求 訪問看護の適正化も | JOINT 介護ニュース | 2026年11月4日 |
| 訪問看護STのリハ職による訪問、報酬見直しを提案 減算強化を求める声も・国会質疑(11月5日) | PT-OT-ST.NET | 2026年10月〜11月 |
本記事は公開資料をもとにセンパイナース(株式会社Le-caldo)がまとめたものです。制度の最終的な内容は、所管の告示・通知でご確認ください。公開日: 。
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